○新しいグループに参加した感想

先週末に参加したグループの話。実に和気藹々としたグループで、友人が忙しい中でワークショップなんぞやっていたのも得心がいった。このプレイグループは社会人ばかりで構成されているが、ほとんどがここ1〜2年でゲームを始めた若いグループだったようだ。(遊んでいるタイトル、ほとんど知らないw)

このグループのユニークな特性は、全員がここ以外のプレイグループにも属していて、そこでは彼らはメインGMとして活動している、という点に起因しているように思う。"All for one"も全員でルールを覚えることを主眼に置いているようだし、感想戦でもシナリオフックを平気で話す。特に後者はGMとプレイヤーが分かれたグループでは「ネタバレ」として敬遠されそうだ。だがここでは普通にネタや構成について話しているし、そこで話したネタを遊ぶこともあるらしい。

以下は忘備録。

13日

「鬼ごっこ」1回目
  • 箱庭の中で鬼から逃げたり鬼になって追っかけたりする、トレーニング用シナリオフレーム。
    • SW2.0ローカライズ
    • 既に友人がGMで2回ほど遊んでいたらしい。
    • シチュエーションを理解した上で遊んでみるのも面白そうだと歓迎される。(プレッシャーw)
  • ルールやデータ面で何度か相談しながら、どうにかセッション終了。
  • PCの半数が鬼になる展開で大惨事。
  • 鬼になっても負けロールで終わらせないガッツに惚れたw
感想戦(1回目)
  • マップを見ながら「移動力が」とか「怪しい薬は自作出来ないか?」とかいった話に。
  • アルケミスト・ワークス』とか、持ってないんでわからない話も出た。
  • 敵データを公開したら「容赦ねえw」と言われたw
  • 再戦したいという話になる。どうせ明日は予定が無いので、二つ返事で了解。
「鬼ごっこ」2回目
  • 軽食を取りながら再戦。
  • イベントをランダムで決定するだけのシナリオなので、その場で再開。
  • 今度はNPCが鬼ばっかりで、ドーン・オブ・ザ・デッドにw
感想戦(2回目)
  • TRPGのシナリオというと、今も戯曲型が一般的らしい。
  • なんで箱庭型で来たのか聞かれる。
    • システムに不慣れな間は戯曲より箱庭でドタバタした方が、純粋に楽しめると考えていると回答。
    • 昔はそういう考えが一般的だったのか、とか質問攻め。
    • 何答えたかよく覚えてないw

14日

「チョコレート・シンドローム
  • 白沢さんがGMで「チョコレート・シンドローム」をプレイ。
  • GMをやってるときも感じたが、ここのメンバーは放っておいてもロールプレイする。
  • 久しぶりにロールプレイの恥ずかしさを体験w
  • 大変だった分だけ面白かったとも言える。
  • それにしても乱戦のルールは分かりにくい。
  • シーン制のセッションは初めてだったので、色々と目新しかった。
    • 登場判定については前に聞いていたとおり、移動判定っぽかった。
    • メインキャストになったときは、軽くパニクったw
感想戦
  • ネタバレ。映画「ショコラ」がモデルらしい。
  • セッションログシートから元ネタのシナリオを予想する話に。外れまくりw
ホームパーティー
  • 女性が一時退場。
  • 残された男性だけで下らない話をしながらテーブルの上を片付け、ホームパーティ。
  • バレンタインデーだからチョコレートフォンデュらしい?
  • 映画「ショコラ」を見ながら、食べながら、セッションのときとキャラのイメージが違うとか、どういうアレンジしたとかの話に。

≡ハンターズムーン

本屋で目についたので買ってきたw

ホラーアクションRPG ハンターズ・ムーン(Role&Roll Books) (Role & Roll Books)

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○"All for one"ルール

友人のプレイグループに出張GMとして参加することになり、先週末、ちょっと行ってきた。システムはSW2.0。グループメンバーは全員、20回以上プレー経験があるらしい。自分はプレイヤーで2回しか遊んだことが無い若葉マーク。そんなんが出張GMってアリ?w

ところがゲームが始まってみれば、それで全然構わない環境だった。その環境についてメモしておく。

"All for one"という遊び方

定義文のコピーをもらったので転載する。

define "All for one"
  • "All for one"はGMが希望する場合に実施される。
  • "All for one"の運用手順は以下の通り。
    1. ある裁定が必要な折に、GMが参加者に「どのルールを使えばいいか」を質問する。
    2. 上記の質問に対し、参加者は全員でルールブックの該当箇所を探し、GMに教える。
    3. GMは該当ルールを読んで、実際の裁定方法を決定する。
Inportant point "All for one"
  • 実施前に以下の要件について検討すること。
    1. "All for one"はレフリー(箱庭)型シナリオとの相性が良い。
    2. "All for one"はストーリー(戯曲)型シナリオで乱用しない方が良い。
concept "All for one"
  • セッション中にルールを確認する機会を作る。
  • 複数の該当ルールがある時、GMが「何故それを選んだか」を考える環境を作る。
  • セッション後に感想戦を行うきっかけを作る。

GM用ルールをプレイヤーが読む: 2D6で1」でも触れられていたが、こうした遊び方は今では一般的なのだろうか? 昔はGMと言えばルール全般を司るのが仕事で、プレイヤーはルールについて口出しせず、ただルールミスをしたときだけGMは何かと責められた。
感想戦でそのあたりについて尋ねたら、逆に昔のことを聞かれて戸惑った。なんであんなに昔のグループは、ルールの正確さだけに一生懸命だったんだ?w

≡コミュニケーションの楽しみ

コミュニケーションによる楽しみ、対話の遊びの話。

≡シーン制について

「シーン制」という抽象時間のマネジメントに関する話。
あとで改めてまとめたい。

○BRNの魔法とシステムデザイン

○TRSとBRNの魔法 - 徒然盤戯メモにコメントをいただきました。
ありがとうございます。非常に参考になりました。

BRNの魔法のリスクとリターン

今回はいただいたコメントから始めることにする。

knsr 朱鷺田さんのゲーム世界は「魔法使うのに命がけ」のイメージがある(『深淵』とか、旧ブルーローズも適切な運命で指定されないと使えなかった)ので、そんなもんかと思ってた。 2010/01/25

DocSeri 世界設定との絡みの問題でもある。魔法を気軽に使える技術として捉えるのか、制御困難な力を用いた危険な儀式とするのか。後者ならばTRSでの運用が相応しい。 2010/01/25

crea555 魔法が拳銃並みに簡単に使えるなら、拳銃使う意味が無いじゃない、ってことなのだろうなあ。あと、邪教の儀式を中断したりとかしたいよね、とか? 銃と魔法の世界じゃない、ってことかしらん。 2010/01/25

三者とも魔法そのものの設定を言及している点に注目。(それはそうと『深淵』も同じデザイナーだったことに今さら気付いたw)

knsr氏、DocSeri氏のコメントより、BRNの魔法には「命がけ」や「制御困難な力」といったイメージがある様子。両氏のコメントからBRNの魔法には「扱いづらい力」「危険な力」というコンセプトがあることは伺える。しかしこれだけでは「ドラマチックな展開」や「スリルやプレッシャーの楽しみ」には必ずしもつながらない。そもそも魔法を使う必然性がない。
crea555氏の「邪教の儀式を中断したり」は運用例の一つとして注目。「中断する」ということは魔法を使う側ではないということ。「誰が中断させるのか」は「邪教の儀式」であることからPCと推測。この点は以下の記事からも推測可能。

神田川 : だからそれをやるゲームなんだってばよ。嵐の中にセスナで突っ込んで空中に浮かぶ城を発見してサイボーグ兵士の銃弾をかいくぐり妖術師の儀式を妨害して武侠をだまくらかして宇宙人と遭遇しつつも危険なオーパーツを封印し、最後は崩れる遺跡から脱出するゲームなんだよ。
ブルーローズネクサスレビュー : 私事総論

この運用例ではBRNの魔法をNPCスキルと扱っている。「邪教の儀式」は「中断すべきもの」としてゲームに設定され、「妖術師の儀式を妨害する」という「ドラマチックな展開」を支援する。このときTRSはリミット制などのルールにより「スリルやプレッシャーの楽しみ」を演出する。(儀式に関する情報があるときはカウントダウン型、無いときはカウントアップ型か?)

ただ、ここでもやはり必然性が薄いように思う。PCスキルにせよNPCスキルにせよ、「ドラマチックな展開」や「スリルやプレッシャーの楽しみ」を満たすためには、魔法の影響力が大きなものでなければ意味がない。たとえば一日がかりの儀式の結果が「その日の天気が分かる」だけだとして、そんな儀式を命がけで行う必要も、命がけで阻止する必要も無い。ハイリスク・ハイリターンである必要がある。コメントをくれた方々も、それは当然のこととして書かれたと思う。

スリルやプレッシャーは、ハイリスク・ハイリターンなゲームで最も大きな楽しみを生む。ハイリスク・ローリターンではモチベーションが上がらない。ローリスク・ハイリターンならプレイヤーは真剣にならない。リスクとして支払うコストが何度も支払えるものなら、リトライすれば済む。
BRNの魔法はハイリスク(「命がけ」で「制御困難」)と理解されている様子。あとはハイリターンが成立すれば、「スリルやプレッシャーの楽しみ」の条件を充たせる。

最終兵器としての魔法

それとは別に、魔法の威力が絶大なものであるなら、

「PCがスプリガンのマックス小隊っぽい立ち位置の面々をやって、NPC様に鮮やかに解決してもらう」というフラストレーションたまる一方な昔の駄目なスタイルまんま。ガンドッグゼロに比べると確かにPCは強くなるけれど、NPCはさらに強くなっているので話にならない。

シナリオ読むと「クライマックスはまともに戦うとPCの敗北確定だからなんとかシナリオ読むと「クライマックスはまともに戦うとPCの敗北確定だからなんとかNPCの協力をこぎつけよう!」みたいにしか作られてないしなぁ。
今更ルールブック確認中 - ワタシノ地球語ハワカリニクイ

といった状況を打破するツールになるかもしれない。

TRSに他の価値はないか?

前回「TRSを使うならデザインコンセプトに沿うべきだ」としたが、あるいはこのデザイナーはTRSに別の利用価値を見出した可能性も有る。そうであるなら、それはどのような価値なのか。

世界表現としてのルール

DocSeri氏のコメントから。後輩は「デザインコンセプトのひとつに、ゲーム世界を表現する数式としてのシステムがある」と言う。このときスキルは世界を網羅するために作成され、プレイアビリティは二の次となる。プレイヤーは遊び方にあったスキルを検出し、各自が取捨選択を行わなければならない。
こうしたコンセプトのゲームは遊びの幅が広がる可能性があり、長期的に遊べるポテンシャルを持つ。反面、プレイヤーはどのように遊べば楽しめるのかを知るための初期投資、戦術研究が必須となる。その世界で何がしたいかをイメージさせるインストが重要。