○TRSとBRNの魔法

『ブルーローズ・ネクサス』*1(BRN)の紹介記事の熱に当てられ、追ってきた。「火の滅び」と魔法の扱いについてターゲット・レンジ・システム(TRS)というルールの評価に目が向く。元は『ガンドッグ・ゼロ』*2(GDZ)というシステムのルールのようだ。これが重ったるいようで、あまり評判が良くない様子。

ガンドッグ』のコンセプト

ゲーム仲間から積ん読状態だった『ガンドッグ*3(GD)のルールブックを借り、めくってみる。(要注意:BRNはGDZ準拠である。参考にしたGDは旧版のため、以下は見当違いの可能性もある)

GDのルールブックP.10の「ガンドッグの楽しみ方」から、GDが「ガンアクション」「特殊部隊」といった要素に重点を置いていることがわかる。また

古今東西、銃器が登場する映画やアニメなどは数多く存在しています。

として銃撃戦の魅力の証明としている。またWikipediaにも、「アクション映画風な事件に関わる」とある。以上からコンセプトに「映像的な表現」や「臨場感」があることが予想される。ただし

ガンドッグ』を遊ぶために特別な知識は必要ありません。もちろん、特殊部隊や銃器、ミリタリーに関する知識を持っていれば、さらに楽しめるのは間違いありませんが、知識がないからといって、それが遊べないということにはつながらないのです。

ともあり、より一次的な楽しみについて放棄しているわけでもない様子。独自性の強いルールは多層的なデザインが行われていることも考慮する。以上のコンセプトを前提に、TRSについて考える必要がある。

TRS

TRSは、状況に応じて決められた技能で判定し、成功度に応じてマーカーを進め、1レンジ(レベル)ずつクリアしていきゴールを目指す(または危機から遠ざかる)ルールらしい。ルールの運用上のポイントはP.134の

 [TRS]は、ドラマチックな展開を[ミッション]にもたらしますが、普通に[行為判定]を行うのに比べると、1回の行動を判定するのに、やや時間がかかってしまいます。
 重要でない判定の際に使用すると、[ミッション]のテンポが悪くなりますし、いざ重要な判定の際に[TRシート]を取り出しても、またか、という感じで緊張感が得られなくなってしまいます。
 GMは、その行動が、[ミッション]を左右する重要な場面であるときにのみ使用するようにしましょう。だいたい、1回の[ミッション]には[TRS]2〜3回くらいが適当でしょう。

だろう。ここでも「ドラマチックな展開」として作劇的なアプローチが考慮されている。また「緊張感」とあることにも注目。これについては「時間制限」の注釈や「カウント方式」の注釈部分でも「スリル」や「プレッシャー」を重視したルールとして設計されている様子。

以上からTRSというルールは、ドラマ的な「細かなシチュエーションの演出」と、ゲーム的な「スリルやプレッシャーの楽しみ」をコンセプトとしたものと推測される。前者は個々のシチュエーションについて演出するきっかけを設け、それによってゲームプレイを盛り上げるためのイマジネーションの補助をする。これは『Aの魔法陣』のT*とビクトリーロールの関係にも似たものが見られる。後者はカウントアップゲームのスリルに類するものと考えられる。

BRNの魔法とTRSの相性

GDのTRSが以上のようなルールとして設計されているのだから、このコンセプトがルールに反映されていない場合を除き、BRNでも同じように運用すべきだろう。TRSがコンセプトに合致したルールであるとしたとき、魔法というスキルはTRSというルールの条件に合うものか?
上記のとおり、GDのルールブックにもTRSは「テンポが悪くなる」と書かれている。その代わりドラマチックな展開が演出できる。はたしてBRNの魔法はドラマチックな展開に相当するものだろうか? また魔法を使うシチュエーションは、スリルやプレッシャーの楽しみがあるだろうか? 以上を検討し、これに沿わない場合、TRSの条件に合うよう魔法のスキルデータを再定義するか、魔法の運用ルール自体を見直すべきと考える。

BRNのルールブックを入手していないので、ここまでとする。

*1:

*2:

ガンアクションTRPG ガンドッグゼロ (Role&Roll RPGシリーズ)

ガンアクションTRPG ガンドッグゼロ (Role&Roll RPGシリーズ)

*3:

ガンドッグ-GUNDOG- (ガンアクションTRPG)

ガンドッグ-GUNDOG- (ガンアクションTRPG)